アナログシンセサイザーを購入するとセッティングチャートが付属しています。これは「何〜の音」と書かれたセッティングにすると、その音を出す事ができる一覧表です。シンセサイザーの書籍にも、そのような表が付いている場合も多いかと思います。
しかし「UFOの音」というセッティングがあっても、UFOの音は聞いた事はなくイメージも人それぞれ違います。また「ピアノの音」というセッティングがあっても、ピアノの音を知っていれば「これがピアノ?」と疑う人もいるかもしれません。

すべてはシンセサイザーの音であり、実際は「ピアノの音」ではなく「ピアノのような音」、あるいはPCMなら「ピアノからいただいた音」なので、これを知った上でイメージの音を作る事がとても大切だと感じています。

このような理由から本書では、シンセシストの耳と頭と心に委ねるという事で、セッティングチャートは減算方式のイニシャル・ボイス(p.74 注釈37)しか紹介していません。(他の音源はサイン波を選んで同等のセッティングをしてください。)

本書にセッティングチャートがなくても、シンセサイザーの購入時に付属されるチャートだけでも十分学習できるはずです。チャートは料理で言えばプロと同じ味が出せる即席の「**の素」のようなものです。自宅で料理してもみんな同じ味に仕上がってしまいます。やはり見習いのコックさんが鍋に残ったソースからレシピを盗むように、音も自分で分析し研究することで自分のスタイルができるはずです。
是非、自分の音にトライしてください。はじめは画家がデッサンをするように、身近な音や楽器をシミュレートするといいと思います。